国指定史跡ガイド 「浦添城跡」の解説
うらそえじょうあと【浦添城跡】
沖縄県浦添市仲間にあるグスク(城)跡。隆起珊瑚礁(琉球石灰岩)が約400m続く標高130~140mの断崖の上に、東西約380m、南北60~80mの規模で築かれ、北側は急崖になっている。築造時期は12世紀の伝承もあるが定かではなく、1429年の第一尚氏(しょうし)の琉球統一によって王国の都が首里に移される以前の中山王(ちゅうざんおう)(琉球国王)の城である。発掘調査から、14世紀ごろの城は高麗系の瓦葺きの正殿を中心に、堀や石積み城壁で囲まれた巨大な城で、周辺には王陵・寺院・屋敷などがあったことがわかった。首里遷都後は浦添家の居城となったが、1609年(慶長14)の薩摩藩の侵攻によって建物は焼失した。その地形から太平洋戦争の沖縄戦では首里周辺の防衛拠点とされ、米軍との間で激しい戦闘が続いた。城跡の北側には英祖(えいそ)王(1229~99年)と尚寧(しょうねい)王(1564~1620年)の陵墓が復元工事を経て、「浦添ようどれ」の名で残っている。1989年(平成1)に国の史跡に指定された。那覇空港から車で約30分。