朝日日本歴史人物事典 「浪岡鯨児」の解説
浪岡鯨児
生年:生年不詳
江戸中期,上方の浄瑠璃作者,雑俳宗匠。浄瑠璃作者としては,宝暦1(1751)年以来並木鯨児,浪岡鯨児,浪岡黒蔵主,黒蔵主などの名で豊竹座の「一谷嫩軍記」「嬢景清八嶋日記」などの合作に参加した。浪岡橘平,浪岡蟹蔵と名乗ったこともあるか。雑俳の面では,紀海音の女婿模稜舎潘山に師事し,朝濤館(閣)啓子(字)と名乗り,大坂堂島に住した。なお鯨児の名は,はやく享保14(1729)年の雑俳選集にみえ,そして約40年後の明和7(1770)年の戯作『穴意探』には「浪岡啓字老足」と録されている。<参考文献>井口洋「浄瑠璃作者黒蔵主」(『国語国文』1971年1月号)
(井口洋)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報