海上人命安全条約(読み)かいじょうじんめいあんぜんじょうやく

百科事典マイペディア 「海上人命安全条約」の意味・わかりやすい解説

海上人命安全条約【かいじょうじんめいあんぜんじょうやく】

SOLAS条約と略称される。海上における船の耐航性と人命の安全を保持するため,船舶検査船体・機関の構造防火防水・救命無線設備,危険物の運送などについての基準を定めた国際条約。1912年のタイタニック号遭難を直接の契機として1914年に最初の条約が結ばれ,以後1974年までに5回の国際会議でそれぞれ条約が定められた。その後1988年に改正され,現行条約は2002年に採択,2004年1月1日より発効している。
→関連項目救命設備船舶安全法

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世界大百科事典(旧版)内の海上人命安全条約の言及

【救命設備】より

…信号装置は船,救命器具類に備えつけられ,捜索発見を容易にするための信号弾など,信号器具類である。 タイタニック号の遭難を契機に結ばれた〈海上人命安全条約〉によって,救命設備の性能や装備方法が国際的に統一されており,各国はこれに従って法律などを定めている。日本では〈船舶安全法〉に基づく〈船舶救命設備規則〉によって,備えなければならない種類,数量,積付け方法などが規定されている。…

【タイタニック号】より

…同年,処女航海の途につくためサザンプトンを出港,ニューヨークに向かう途中,4月14日夜ニューファンドランド島沖(北緯41゜46′,西経50゜14′)で氷山に衝突して翌日沈没,1490名(1513名ともいわれている)の犠牲者を出した。この世界最大の海難事故に対し,イギリス政府は商船法に基づき海難審判委員会を発足,この委員会の報告書の内容は,29年に〈海上における人命の安全のための国際条約International Convention for the Safety of Life at Sea〉(〈海上人命安全条約〉〈SOLAS条約〉ともいう)という国際的な法律の中に生かされた。そのおもなものは,北大西洋における流氷の監視と通報,船舶の構造強化,復原性・水密区画・開口部に対する規制,救命および消火設備の充実,無線電信施設の充実,救難通信(SOS)の24時間聴取の義務づけなどで,その後もこの条約は改正されつつ現在に至っている。…

※「海上人命安全条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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