液体レーザー(読み)えきたいレーザー(英語表記)liquid laser

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「液体レーザー」の意味・わかりやすい解説

液体レーザー
えきたいレーザー
liquid laser

レーザー媒質として液体を用いるレーザーの総称。ネオジムイオン Nd3+ などのランタニド系希土類元素イオンを含む溶液におけるイオン内の電子遷移に基づく発光を利用したものと,ローダミンその他の色素溶液におけるπ電子の発光遷移を利用したものとに大別される。液体分子の不規則運動でレーザー発振させるのは困難だったが,使いやすい気体レーザー固体レーザーを励起に使えるようになり,液体レーザーが実用化した。一般に液体レーザーは固体レーザーや半導体レーザーに比べ安価で形状に対する制限がなく,循環可能のため冷却が容易であるうえ,気体レーザーに比べ活性中心の濃度が高いので大きな電子の反転分布が得られるため増幅利得が大きいなどの特徴をもつ。特に色素溶液を用いた色素レーザーは,スペクトル幅の広いケイ光帯を使っていることと材料の種類がきわめて豊富なために紫外部から近赤外部にわたって発振波長を任意に選択できるという長所があり,波長可変レーザー tunable laserとして重要であり,広い分野で使用されている。

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