化学辞典 第2版 「淡色効果」の解説
淡色効果
タンショクコウカ
hypochromic effect, hypochromism
ハイポクロミック効果ともいう.置換基の影響や構造変化に伴って,吸収帯の位置はずれないまま吸光度が減少することをいう.浅色効果ともよばれる.核酸,タンパク質などの高分子が規則正しいらせん構造をとると,ランダム構造のときに比べていちじるしい淡色効果を示すので,それらの立体構造の解析の重要な指標として用いられる.ポリヌクレオチドでは,鎖の軸に直角に並んだ塩基部分の積み重ねにより平面構造をした塩基のπ電子の相互作用により,その成分の和というよりは,その成分全体の特徴ある紫外吸収を示す新しい電子状態が生じてくる.もっとも整った構造をしている二重らせん構造のDNAが淡色効果も大きく,分解してモノヌクレオシドにすると吸収強度は60~70% 増加する.RNAでは25~45% 増加する.この逆に,吸収帯がずれないまま吸光度が増大することをハイパークロミック効果,濃色効果,または深色効果という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報