深淵村(読み)ふかぶちむら

日本歴史地名大系 「深淵村」の解説

深淵村
ふかぶちむら

[現在地名]野市町深淵

物部ものべ川下流左岸、野市村の西にあり、地味は肥え、西部は砂土まじりで甘蔗の栽培に適する。

和名抄」所載の香美郡深渕郷に属し、建久四年(一一九三)六月九日付の将軍家政所下文(香宗我部家伝証文)によると深淵郷・宗我部そがべ郷の地頭として中原(香宗我部)氏が補任され、以後、同氏の支配が戦国末期まで続く。深淵郷には物部川左岸の現野市町深淵・大谷おおたに父養寺ぶようじ母代寺ぼだいじ東佐古ひがしさこ・西佐古と、右岸の現南国市立田たてだが含まれたと考えられ、天正一六年(一五八八)の長宗我部検地では現野市町分は東深淵郷、現南国市分は深淵郷とされている。建武三年(一三三六)三月一七日の佐伯経貞軍忠状(西岡家文書)に「今月十六日押寄深淵城懸先陣焼払城」とみえる深淵城は、深淵神社西北の小字殿内とののうち土居下どいのした一帯に比定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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