〈禅〉はサンスクリットのディヤーナdhyāna,パーリ語のジャーナjhānaから転じた音,〈定〉はその意味をおのおの示している。身体を安静に保ち,心静かに人間本来の姿を瞑想すること,心を一つに集中させ,動揺させないことである。古代インドでは仏教以前から広く行われていた修行法の一つであるが,仏教におけるもっとも代表的な修行法ということができる。大乗仏教の修行法である六波羅蜜の第五にあたり,修行法の中心といえ,また三学(さんがく)(戒・定・慧)の一つである。そして,身体を安静に保つ姿勢として座法が一般に用いられるので座禅(ざぜん)ともいわれる。しかし禅定は座禅のみでなく,仏教以外では,いわゆるヨーガとしてさまざまな姿勢が用いられている。また,禅宗は座禅宗ともいわれ,座禅をとくに重要視するが,禅宗のみが禅定を用いているのでもない。釈尊が悟りを開いたのは禅定によるとされるので,脚を組んで座り,両手を脚上に掌を上にして重ねておく姿の禅定仏が定印(じよういん)の釈迦仏や阿弥陀仏として,彫刻,絵画に多く表現されている。さらに,修験道などでは霊場の山に入り修行することを禅定とも呼んでいる。
→禅 →ヨーガ
執筆者:井ノ口 泰淳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…仏教ではもともと三昧(さんまい)を追求することが基本となっている。三昧とは禅定(ぜんじよう)ともいわれ,心を集中して心が安定した状態に入ることである。禅定の追求が継承されていくなかでその方法が具体的に形成されることとなり,観仏・観法などの修行の仕方が明らかにされていく。…
※「禅定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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