精選版 日本国語大辞典 「渡鳥」の意味・読み・例文・類語
わたり‐どり【渡鳥】
- 〘 名詞 〙
- ① 鳥類の生態上の区分。留鳥に対する語。繁殖する地域と非繁殖期を過ごす地域とが離れていて、毎年定期的にその間を往復する鳥をいう。また、ある地域に毎年一定の季節にだけ現われる鳥をいうこともあるが、この場合には候鳥と呼ぶ方が正しい。カモ類の大部分、ガン類、ハクチョウ、ツグミなど。《 季語・秋 》
- [初出の実例]「渡り鳥遠ひ所をはれやれやれ〈西花〉 とやいて見てもきかぬみみつく〈西友〉」(出典:俳諧・西鶴五百韻(1679)何鞠)
- ② 外国から日本へつれてきた鳥。孔雀(くじゃく)、鸚鵡(おうむ)など。
- [初出の実例]「色色のわたり鳥調へて都にのぼりしに」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)四)
- ③ 定住しないで方々を渡り歩いて生活する人。渡り稼ぎする人。渡り者。
- [初出の実例]「家も故郷も無く渡り歩いてゐる無籍者のやうな職工もゐた。これを『渡り鳥』と言ふのであった」(出典:女工哀史(1925)〈細井和喜蔵〉一二)