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留鳥の語は二つの意味で使われる。すなわち、(1)ある地域で一年中どの季節にもみられる鳥(これに対してある季節にだけみられる鳥は候鳥という)であり、(2)一年中生息地をかえずに生活している鳥(これに対して季節によって生息地をかえる鳥は渡り鳥という)である。この二つのどちらの意味でも当てはまる場合があることは確かであるが、多くの場合にはそう単純ではない。そこには二つの問題がある。(1)の場合には地域の広さが問題である。ある地域を日本とすると、春夏は北海道でしかみられず秋冬には南日本でしかみられない鳥でも、日本では一年中みられることになる。春夏は高地で秋冬は低地という鳥もいる。また、近所では一年中みられるが、家の庭という地域では秋冬しかみられないという鳥もいる。したがって(1)の場合、留鳥という概念は地域を特定しないと成立しない。もう一つの問題は(2)に関するもので、ここで鳥というのは種単位なのか個体単位なのかである。同一地域の同一種であっても、一年中生息地をかえないのは一部の個体だけ(雄の成鳥のことが多い)という場合がしばしばあるからである。このような種は(2)の意味では留鳥とはよべないのであるが、(1)の意味ではそれも留鳥というのが普通である。
[浦本昌紀]
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…繁殖地と越冬地との間を規則的に往復する鳥。人家の周辺でみられるスズメやカラスは一年中同じ地域にすむので留鳥resident birdと呼ばれる。またウグイスやアカハラなどのように,繁殖するところと冬を過ごす(越冬)場所とが違うが同じ地域内を出ない鳥は漂鳥wandering birdと呼ばれる。…
※「留鳥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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