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渦状構造密度波理論 かじょうこうぞうみつどはりろん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

渦状構造密度波理論
かじょうこうぞうみつどはりろん

渦巻銀河(渦状銀河)の渦巻模様(渦状構造)を説明するために考えられた理論。単に密度波理論ともいう。渦巻銀河は約1000億個程度の星の集合体であるが、個々の星は銀河の中心を焦点とする楕円(だえん)軌道を回っている。この場合、太陽系の惑星のように個々の星は銀河中心に近い星ほど早く回転することになる(差動回転または微分回転という)。もし星の配列により渦巻模様ができているとすると、渦巻模様が銀河の回転により急速に何重にも巻き付いてしまうことになる。しかしそのように何重にも巻き付いた渦巻銀河が見つからないことから「巻き込みのジレンマ」として問題になっていた。そこで1964年にリンChia-Chiao Lin(1916― )とシューFrank Shu(1943― )が「渦状構造は星そのものの配列ではなく、星たちがつくる重力場(星密度の違い)が波のように移動する」という渦状構造密度波理論を提案した。これは高速道路での渋滞がゆっくり移動しているさまに例えられる。渋滞に遭遇する車はそれまで速く走っていても、渋滞に遭うと一時的にゆっくり走り、渋滞を抜けるとまた速く走り出す。この車が星に相当し、渋滞が密度波(星の密度の高い部分で渦巻の腕にあたる)に相当する。
 この密度波理論は銀河のごく一部を対象にした局所理論であったが、その後銀河全体を対象にする理論に発展し、銀河の渦巻について、2本の渦巻だけでなく、1本や3本の渦巻が発生成長するようすがわかってきた。またこの渦状構造密度波理論は、密度波によって生じる星間ガスの動きを考慮した銀河衝撃波理論に発展し、渦巻の周辺にあるダークレーン(暗黒星雲)や新しい星形成領域の存在を説明できるようになっている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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