湯船(読み)ユブネ

精選版 日本国語大辞典 「湯船」の意味・読み・例文・類語

ゆ‐ぶね【湯船・湯槽】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 入浴用の湯をたたえておき、人がその中にはいる大きな箱・桶。浴槽。湯の船。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「五間にあまる湯舟(ユブネ)に掛樋滝をおとし」(出典浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)三)
  3. 江戸時代、船の出入りの多い港にあった風呂場を設けた小船で、入港した廻船渡海船に漕ぎつけ、船乗りや旅客から金をとって入浴させた移動式の風呂屋。風呂屋船。
    1. [初出の実例]「向後荷物瀬取候茶船并湯船水船之外、一切諸廻船之辺え乗り参間敷候」(出典:御触書寛保集成‐三六・享保六年(1721)九月)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の湯船の言及

【銭湯】より

…5月5日の菖蒲湯(しようぶゆ),冬至の柚子湯(ゆずゆ)などはいまも行われているが,明治以前は盆と正月の藪入り(やぶいり)の日にはその日の売上げを三助の収入とする〈貰湯(もらいゆ)〉も行われていた。なお,これは江戸にかぎらず船の出入りの多い港ではどこでも見られたものだが,一種の移動式銭湯とでもいうべき〈江戸湯船(えどゆぶね)〉,あるいは単に〈湯船〉と呼ぶものがあった。小舟の中に浴室を設け,停泊中の船の間を漕ぎまわり,湯銭をとって船員たちに入浴させたものである。…

※「湯船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android