渡海船(読み)トカイブネ

デジタル大辞泉 「渡海船」の意味・読み・例文・類語

とかい‐ぶね【渡海船】

江戸時代に、大坂中心瀬戸内海諸港間の貨客輸送にあたった小型廻船。大坂・丸亀間の金毘羅船こんぴらぶね、大坂・北九州間の小倉船こくらぶねなど。

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精選版 日本国語大辞典 「渡海船」の意味・読み・例文・類語

とかい‐ぶね【渡海船】

〘名〙
① 江戸時代、主要都市間を連絡して貨客輸送にあたった海船。大坂を中心として瀬戸内海に多い。数十石積から四百~五百石積まで、航路長短により大小の差があり、艤装にも大きな差がある。長距離用の代表は小倉渡海で、北九州~大坂間を往復し、大型の屋形を設けて当時の客船としては最上のものといわれた。近距離用には尼崎西宮・兵庫などの渡海があり、屋形のない小船を用いたが、西宮渡海などは沖繋りの廻船の荷役も行なった。渡海。とかいせん。→小早(こばや)(二)②。〔和漢船用集(1766)〕
② 海を渡る船。大洋を航行する船。とかいせん。
※常名家文書‐乍恐口上書を以奉願上候「私儀先代より渡海船商売仕来候得共」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「渡海船」の意味・わかりやすい解説

渡海船
とかいせん

(1) 江戸時代,大坂を中心に瀬戸内海沿岸の主要都市間をほぼ定期的に貨客運送を行なっていた船。尼崎,西宮,兵庫,淡路のような近距離では小型船が頻繁に往復し,下関や北九州と大坂を結ぶ小倉渡海船のような長距離用は 400石積み前後の大型船であった。小倉渡海船は本格的な乗客用の屋形を設け,渡海船では最上級の船で,普通大坂-下関間を7日ほどで航海し,速いときは3日で走破することもあって,当時の旅には大いに利用された。有名な金毘羅船も大坂-丸亀間に就航した渡海船で,その便利さが金毘羅参詣を盛んにした。 (2) 日本海方面では,遠方に航海する大回しの廻船の総称として渡海船の語を用い,普通 200石積み以上の廻船をいう。同名でも瀬戸内海方面とはまったく別の一般廻船である。

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