朝日日本歴史人物事典 「源公忠」の解説
源公忠
生年:寛平1(889)
平安時代の歌人。三十六歌仙のひとり。光孝天皇の孫。大蔵卿国紀の子。醍醐・朱雀両天皇の蔵人,近江守などを経て従四位下,右大弁に至る。宮廷歌人として活躍し,賀歌,屏風歌などを多く詠進した。また,歌道のみならず香合,放鷹の名手としても知られる。家集に『公忠集』があり,『後撰集』以下の勅撰集に21首入集。承平3(933)年醍醐天皇の皇女康子内親王の御着裳の折に詠んだ屏風歌「ゆきやらで山路くらしつほととぎすいま一声の聞かまほしさに」(『拾遺集』)は,のちに能因により郭公の秀歌五首のひとつに挙げられたという(『袋草紙』)。
(浅見緑)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報