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藤原公任(きんとう)(966―1041)の『三十六人撰(せん)』に選ばれている、柿本人麿(かきのもとのひとまろ)、紀貫之(きのつらゆき)、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)、伊勢(いせ)、大伴家持(おおとものやかもち)、山部赤人(やまべのあかひと)、在原業平(ありわらのなりひら)、遍昭(へんじょう)、素性(そせい)、紀友則(とものり)、猿丸大夫(さるまるだゆう)、小野小町(おののこまち)、藤原兼輔(かねすけ)、藤原朝忠(あさただ)、藤原敦忠(あつただ)、藤原高光(たかみつ)、源公忠(きんただ)、壬生忠岑(みぶのただみね)、斎宮女御(さいくうのにょうご)、大中臣頼基(おおなかとみのよりもと)、藤原敏行(としゆき)、源重之(しげゆき)、源宗于(むねゆき)、源信明(さねあきら)、藤原清正(きよただ)、源順(したごう)、藤原興風(おきかぜ)、清原元輔(きよはらのもとすけ)、坂上是則(さかのうえのこれのり)、藤原元真(もとざね)、小大君(こおおぎみ/こだいのきみ)、藤原仲文(なかぶみ)、大中臣能宣(よしのぶ)、壬生忠見(ただみ)、平兼盛(かねもり)、中務(なかつかさ)の36歌人に対する呼称。うち人麿、家持、赤人が万葉歌人、以下が公任時代以前の平安歌人である。『三十六人撰』は、公任と具平(ともひら)親王(964―1009)の貫之・人麿優劣論に端を発した、具平親王『三十人撰』を発展させたもので、それにある清原深養父(ふかやぶ)を除き、赤人、猿丸大夫、高光、斎宮女御、頼基、宗于、元真を加え、人麿―貫之、躬恒―伊勢各10首、遍昭―業平以下各3首、兼盛―中務各10首を、それぞれ相対させて番(つが)えた150首からなる秀歌選である。この三十六歌仙の家集を類聚したのが『三十六人集』(『歌仙家集』とも)、その略伝を漢文体で記したのが『三十六人歌仙伝』(平安後期成立)である。三十六歌仙は歌仙形式の典型として定着し、『新三十六人』(平安後期。散逸)、『後六六(のちのろくろく)撰』(藤原範兼(のりかね)。平安後期)、『女房三十六歌仙』(鎌倉時代)、『釈教三十六歌仙』(南北朝時代)などがつくられた。
[杉谷寿郎]
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藤原公任による歌合形式の秀歌撰《三十六人撰》にもとづく36人の代表歌人をいう。柿本人麻呂,紀貫之,凡河内躬恒(おおしこうちのみつね),伊勢,大伴家持,山部赤人,在原業平,僧正遍昭,素性法師,紀友則,猿丸大夫,小野小町,藤原兼輔,藤原朝忠,藤原敦忠,藤原高光,源公忠,壬生忠岑,斎宮女御,大中臣頼基,藤原敏行,源重之,源宗于(むねゆき),源信明,藤原清正(きよただ),源順,藤原興風,清原元輔,坂上是則,藤原元真(もとざね),小大君,藤原仲文,大中臣能宣,壬生忠見,平兼盛,中務(なかつかさ)である。藤原清輔の《袋草紙》に,具平親王と公任が人麻呂と貫之の優劣を議論したことに始まると見える。この議論が契機となって,公任によって過去の有名歌人の優劣を論じる《十五番歌合》が行われ,30人の歌を集めた《三十人撰》が制作され,《三十六人撰》が編集されるにいたった。《古今和歌集》の〈六歌仙〉の6倍という数が人々に喜ばれ,平安朝後期には,〈中古三十六歌仙〉〈女房三十六歌仙〉などが定められた。
執筆者:上野 理
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藤原公任(きんとう)の「三十六人撰」に選ばれた歌人。柿本人麻呂・紀貫之(きのつらゆき)・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)・伊勢・大伴家持(やかもち)・山部赤人(やまべのあかひと)・在原業平(ありわらのなりひら)・僧正遍照(へんじょう)・素性(そせい)法師・紀友則(とものり)・猿丸大夫(さるまるだゆう)・小野小町・藤原兼輔(かねすけ)・同朝忠(あさただ)・同敦忠(あつただ)・同高光・源公忠(きんただ)・壬生忠岑(みぶのただみね)・斎宮女御(さいぐうのにょうご)(徽子(きし)女王)・大中臣頼基(おおなかとみのよりもと)・藤原敏行・源重之・同宗于(むねゆき)・同信明(さねあきら)・藤原清正(きよただ)・源順(したごう)・藤原興風(おきかぜ)・清原元輔(もとすけ)・坂上是則(さかのうえのこれのり)・藤原元真(もとざね)・小大君(こおおぎみ)・藤原仲文(なかぶみ)・大中臣能宣(よしのぶ)・壬生忠見(ただみ)・平兼盛・中務(なかつかさ)の36人。「三十六人撰」は,公任と具平(ともひら)親王の間で行われた人麻呂と貫之の優劣論争が契機となって選ばれたといわれる。公任の歌人に対する評価がよく現れている。その後,これにならった各種の三十六歌仙がうまれた。
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…歌仙の絵姿を描き,そこに詠歌や略伝を書き添えたもの。藤原公任撰出の三十六歌仙を描く作例が多い。平安時代の歌合の盛行は歌論の発達を促し,古今の優れた歌人に対する尊崇の念を強めた。…
※「三十六歌仙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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