化学辞典 第2版 「溶球反応」の解説
溶球反応
ヨウキュウハンノウ
bead reaction
定性分析で金属イオンの予備的検出に用いられる方法.ほう砂球反応およびリン酸球反応がよく使用される.ホウ砂は加熱すると脱水してメタホウ酸ナトリウムと酸化ホウ素に,またリン酸水素アンモニウムナトリウムはメタリン酸ナトリウムになり,金属イオンと反応して特有の着色がみられる.方法は白金線の環にホウ砂またはリン酸塩の小粒を置き加熱脱水したのち,試料を加えて強熱融解する.金属イオンによる着色は,酸化炎と還元炎の場合で異なることがあり,両方の色によって正確な判断を下すことができる.たとえば,鉄イオンは酸化炎では熱時黄色~赤色を示し,冷却すると黄色~無色に退色する.還元炎ではくすんだ緑色である.マンガンは酸化炎で紫色,還元炎では無色である.そのほか,銅,コバルト,ニッケル,クロム,スズ,バナジウム,モリブデン,タングステン,チタン,ウランなどが特有の着色を示す.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報