定性分析(読み)テイセイブンセキ(英語表記)qualitative analysis

デジタル大辞泉 「定性分析」の意味・読み・例文・類語

ていせい‐ぶんせき【定性分析】

試料物質に含まれる成分元素イオン原子団などを化学反応などによって調べる分析通常定量分析の前に行う。

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精選版 日本国語大辞典 「定性分析」の意味・読み・例文・類語

ていせい‐ぶんせき【定性分析】

  1. 〘 名詞 〙 与えられた物質がどのような種類の成分を含んでいるかを判定する化学分析。何が含まれているかを調べる場合と、特定の物質が含まれているかどうかを調べる場合とがある。元素・イオン・基・原子団・分子などの検出・確認を行なう化学的方法と、スペクトル・屈折率・旋光度誘電率磁性・色・比重・融点・沸点・結晶形などの物理的性質を調べる物理的方法とがあり、これらを組み合わせて行なう。→定量分析

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「定性分析」の意味・わかりやすい解説

定性分析
ていせいぶんせき
qualitative analysis

化学分析のうち試料中に含まれる各種の成分の種類を知るための分析法の総称。未知物質を分析する際に最初に行うべき操作で、その操作を検出、確認、定性あるいは同定などとよぶ。定性の方法としては、物質中に含まれる特定化学種(原子、原子団、分子、イオン、基、同位体その他)に固有の特性やその変化を利用して行う。もっとも素朴な方法は、視覚臭覚など人間の感覚を利用したものである。さらにこれに基づいて加熱溶解などの手段を加えて試料中の成分の変化を観察する。加熱変化を観察する方法で、無機化合物を対象としたものは乾式法とよばれ、主として水溶液の化学変化を利用する方法は湿式法とよばれている。定性分析ののちに行われるのが定量分析である。機器分析では定性と定量を兼ねて行う場合が多い。

[高田健夫]

『佐竹正忠・御堂義之・永広徹著『分析化学の基礎』(1994・共立出版)』『京都大学総合人間学部自然環境学科物質環境論講座編『無機定性分析実験』(1994・共立出版)』『今泉洋・上田一正他著『基礎分析化学』(1998・化学同人)』

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百科事典マイペディア 「定性分析」の意味・わかりやすい解説

定性分析【ていせいぶんせき】

試料がどのようなものであるか,あるいはどのような成分からなるかを検出する分析法。通常定量分析の前に行う。一般に成分元素あるいは基,根などの検出確認には,それぞれに特有な化学反応,物理的性質(色,融点,沸点,電導度,結晶形,比重,磁性,誘電率,屈折率,スペクトル)などを調べて,既知のものと対照して確認する。無機物の場合,試料を溶液として,それに含まれるイオンを検出するイオン分析が広く行われる。炎色反応溶球試験,吹管試験なども利用され,またクロマトグラフィー分光分析なども行われる。
→関連項目化学分析

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化学辞典 第2版 「定性分析」の解説

定性分析
テイセイブンセキ
qualitative analysis

ある物質がどのような化学種から成り立っているかを決める分析法の総称.定量分析と対比して用いられる.天然物の場合には,すべての元素を含む可能性が大きいので,非常に大まかな量的関係も定性分析で取り扱う.各元素,イオン,基,原子団,分子などに特異的に認められる化学反応,あるいは物理的性質が検出に利用される.化学反応を利用するものは湿式分析が多いが,炎色反応ほう砂球反応吹管分析なども簡単な定性分析として利用される.湿式法のうちには,有機,無機物質の系統的定性分析法が多数提案されている.物理的方法は多数あるが,そのなかで電磁波スペクトルによる方法が一般に利用される.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定性分析」の意味・わかりやすい解説

定性分析
ていせいぶんせき
qualitative analysis

問題の物質がどのような化学種から成り立っているか,あるいはある特定の化学種を含むかどうかを知る目的で行う分析法の総称。普通,存在する元素,イオン,原子団,分子などを検出,確認するには,既知の化学反応 (たとえば呈色や沈殿) や物理的性質 (たとえばスペクトル線波長,屈折率,比重,融点,沸点など) を利用して行う。試料を分解し,分族を含む系統的なイオンの定性分析法が古くから確立されているが,実用的には発光分光分析,ケイ光X線分析,赤外吸収分析,各種クロマトグラフィーなど有力な機器分析法が主流になりつつある。

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改訂新版 世界大百科事典 「定性分析」の意味・わかりやすい解説

定性分析 (ていせいぶんせき)

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栄養・生化学辞典 「定性分析」の解説

定性分析

 量にかかわりなく,ある混合物に特定の物質が存在しているかといったことを調べる分析.

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世界大百科事典(旧版)内の定性分析の言及

【化学分析】より

…化学分析とは,〈何が〉〈どれだけ〉〈どのような状態で〉含まれているかを明らかにすることである。もともと,〈何が含まれているか〉を明らかにするのは定性分析qualitative analysisであり,〈どれだけ含まれているか〉を明らかにするのは定量分析quantitative analysisである。〈どのような状態で含まれているか〉を明らかにするのは状態分析state analysisとよばれている。…

※「定性分析」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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