日本大百科全書(ニッポニカ) 「演芸画報」の意味・わかりやすい解説
演芸画報
えんげいがほう
演劇雑誌。1907年(明治40)1月創刊。発行所は演芸画報社。編集は中田辰三郎。創刊号は口絵アート版に続き、脚本、意見、小説、雑録を掲載、娯楽本位であったが、しだいに評論、劇評、演出記録などの研究的なものを収め、かつ一方には文化人や政財界人による楽しい読み物もあるという、万人向きの雑誌となった。歌舞伎(かぶき)を中心に、毎月東西各劇場の舞台写真や劇評を載せているのは演劇資料として貴重であり、また俳優の芸談も参考になることが多い。23年(大正12)関東大震災以後は渥美清太郎(あつみせいたろう)と安部豊(あべゆたか)が編集を担当し、第二次世界大戦中の43年(昭和18)に演劇雑誌の統合により廃刊した。全439冊。78年(昭和53)三一書房から明治年間の69冊が復刻された。また、国立劇場芸能調査室が編集した『演芸画報総索引』全3冊、人物編・作品編・一般編(1974~77・平凡社)は、『演芸画報』閲覧などに必携の書である。
[土岐迪子]