潮音院(読み)ちようおんいん

日本歴史地名大系 「潮音院」の解説

潮音院
ちようおんいん

[現在地名]鹿町町中野免 黒木坂

ふね村免むらめん境にある。遠海山潮音院蓮華寺と号し、真言宗智山派。本尊聖観音。平安末期の中野原なかのばるの薬師堂が前身であると伝え、足を痛めた行脚僧逗留、加持祈祷や占いなどによって近郷の信仰を集め、やがて近江国義仲ぎちゆう(現滋賀県大津市)の光盛であると喧伝されたという。のち堂は上手の林地に移されたものの、山津波を受けて埋没したとされ、跡地は古庵谷ふらんだにとよばれる。延徳年間(一四八九―九二)現在地に移建されたと伝えるが、この頃のものと推定される五輪塔(部分)などが境内の周辺から出ている。天正二年(一五七四)を潮音院の中興の年代としており、同九年平戸の松浦隆信名越谷なごや(直谷、現吉井町)への遠征の帰途に当寺で昼食をとった時、寺僧が新茶などをもてなしたとされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報