災異説(読み)サイイセツ

デジタル大辞泉 「災異説」の意味・読み・例文・類語

さいい‐せつ【災異説】

中国古代の政治思想の一。国家政治が乱れると天は何らかの災異現象を起こして地上統治者を責め、罰を下すという思想

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「災異説」の意味・わかりやすい解説

災異説
さいいせつ

災異とは天災地変を略していったもので、日食彗星(すいせい)の出現、洪水、地震、大火などのことをいう。こうした現象を、天人合一思想に基づいて、人間の行為と関連づけて説いたのが災異説で、中国の漢代にこの理論がたてられた。前漢の董仲舒(とうちゅうじょ)は、国に失政があったとき、天がまず災を降(くだ)して譴告(けんこく)し、それでも改悛(かいしゅん)の心がないときは異を出して威嚇すると説き、さらにだめなときはこれを滅ぼすとして災異説を確立した。小なるものを災(災害)、大なるものを異(怪異)として専制君主横暴歯止めとしようとした。後漢(ごかん)の何休(かきゅう)は、この考え方を一歩進めて、災は行為の結果現れるのに対し、異は「事に先んじて至るもの」として、予言的性格を強く出した。『緯書(いしょ)』ではこうした災異説をことごとく予言説化し、前漢末から後漢にかけて流行した。日本で奈良朝以後この災異説が流行したが、『緯書』の予言的災異説を受け継いだものである。

[安居香山]

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