災異説(読み)さいいせつ

日本大百科全書(ニッポニカ)「災異説」の解説

災異説
さいいせつ

災異とは災地変を略していったもので、日食、彗星(すいせい)の出現、洪水、地震、大火などのことをいう。こうした現象を、天人合一思想に基づいて、人間の行為と関連づけて説いたのが災異説で、中国の漢代にこの理論がたてられた。前漢の董仲舒(とうちゅうじょ)は、国に失政があったとき、天がまず災を降(くだ)して譴告(けんこく)し、それでも改悛(かいしゅん)の心がないときは異を出して威嚇すると説き、さらにだめなときはこれを滅ぼすとして災異説を確立した。小なるものを災(災害)、大なるものを異(怪異)として専制君主の横暴の歯止めとしようとした。後漢(ごかん)の何休(かきゅう)は、この考え方を一歩進めて、災は行為の結果現れるのに対し、異は「事に先んじて至るもの」として、予言的性格を強く出した。『緯書(いしょ)』ではこうした災異説をことごとく予言説化し、前漢末から後漢にかけて流行した。日本で奈良朝以後この災異説が流行したが、『緯書』の予言的災異説を受け継いだものである。

[安居香山]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

榷場

中国,宋代に北・西方の外民族との貿易を管理するため国境におかれた官庁。 榷務,榷署とも呼ばれる。太平興国2 (977) 年,契丹との交易のため設けられたのに始り,景徳4 (1007) 年西夏との間にお...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android