イタリアのノーベル賞詩人E・モンターレの処女詩集。1925年に、反ファシズムの思想家P・ゴベッティが出版した。20世紀イタリア詩の主流エルメティズモの最高傑作の一つ。詩人の生まれ故郷ジェノバと、別荘のあったリグリア西海岸の景勝の地モンテロッソの風土を中心に、徹底した無の感覚を基盤にして、苦い精神の世界を歌った。とくに、連作『地中海』は、海に落ち込む崖(がけ)、潮風に身をよじる老松、鋭い叫び声を残して飛び去る鳥などを題材に選び、重く深い韻律のうちに美を封じ込めて、規模の雄大な詩的世界を展開する。そして詩の行間に、透き通った烏賊の骨にも似て、青白い虚無の影が浮かび上がってくる。
[河島英昭]
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...