エルメティズモ(読み)えるめてぃずも(英語表記)ermetismo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルメティズモ」の意味・わかりやすい解説

エルメティズモ
ermetismo

両世界大戦間にイタリアで興った詩派錬金術主義。代表的な詩人に G.ウンガレッティ,E.モンターレ,S.クァジーモドらがいる。この詩派の特色は,G.ダンヌンツィオ的な饒舌や感傷性を避けて,隠喩を多く用いながら,言葉の精髄だけを引出そうとすることにあり,孤立のうちに自己の内面の不条理をえぐり出してみせる。やがて,第2次世界大戦とそれに続く抵抗運動とが,詩人たちの目を外界に向けさせたとき,この運動は一つの結末に到達した。より新しい世代に属するこの派の詩人には A.ガット,M.ルーツィ,L.シニズガッリなどがいる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルメティズモ」の意味・わかりやすい解説

エルメティズモ
えるめてぃずも
ermetismo

イタリア第一次世界大戦後、イタリア詩の主流を占めた詩派。エルメティズモとは錬金術の意。フランスの象徴主義、とくにマラルメバレリーの影響を強く受け、詩から歴史や政治などの非詩的要素を排除し、ことばの伝達機能を極限まで取り除いて、ことばが本来備えているイメージの喚起力を詩のなかに取り戻そうとする純粋詩を目ざした。1930年代にフィレンツェで発行された『フロンテスピーツィオ』『カンポ・ディ・マルテ』などの雑誌に拠(よ)って多くの詩人たちが登場した。とくに詩集『時間の感覚』(1933)でこの詩法を確立したウンガレッティや、クアジーモド、シニズガッリ、ルーツィが代表的詩人である。また、批評家ボーはこの詩派の理論的支柱となった。しかし第二次世界大戦後、ファシズムや戦争に対する消極的な姿勢が、過酷な抵抗運動を担った詩人や作家たちの厳しい批判を浴びるところとなった。

[川名公平]

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