無線送電(読み)ムセンソウデン(その他表記)wireless power transmission

デジタル大辞泉 「無線送電」の意味・読み・例文・類語

むせん‐そうでん【無線送電】

無線電力伝送

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「無線送電」の意味・わかりやすい解説

無線送電 (むせんそうでん)
wireless power transmission

無線で電気エネルギーを伝送すること。電気工学における夢の技術の一つであるがまだ成功していない。G.M.マルコーニが無線通信の実験を行ったのと同じころ,すなわち19世紀末から20世紀初めにかけて,アメリカのN.テスラはみずから発明したテスラ変圧器電源としアンテナから超低周波の電波を送り,これをアンテナで受けるという方式の無線送電の実験を行った。今日でははるかに周波数の高いマイクロ波あるいは光の周波数を用いる方式が考えられている。20世紀半ばころ,核融合発電が成功して電力が安く大量に得られる日がすぐにも実現すると思われた時期には,送電効率は低くてもかまわないので無線送電が待望された。最近では,宇宙開発に関連して宇宙ステーションに載せた太陽電池で発電し,他の衛星あるいは地球へ送電するという計画も発表されている。

 テスラが用いた超低周波にしろマイクロ波や光にしろ,これらの電磁波が伝搬する間の効率はそれほど低くない。超低周波の場合はアンテナの効率が低すぎて成功しなかったが,高周波ではその点もそれほど悪くない。電力は50~60Hz,あるいは直流で効率よく発生しまた使用されているので,大電力をマイクロ波のような高周波に変換するところにいちばん問題がある。将来必要性に応じて問題点も解決されていくものと思われる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android