日本大百科全書(ニッポニカ) 「『無責任』シリーズ」の意味・わかりやすい解説
『無責任』シリーズ
むせきにんしりーず
日本映画。1962年(昭和37)~1971年東宝作品。ハナ肇(はじめ)(1930―1993)とクレージーキャッツ出演で、植木等(うえきひとし)(1926―2007)を主演に据えた破天荒な喜劇シリーズ。1962年の『ニッポン無責任時代』(監督古澤憲吾(ふるさわけんご)、1919―1997)から1971年の『日本一のショック男』(監督坪島孝(つぼしまたかし)、1928―2007)まで9年間、30本の東宝クレージー映画がある。第1作は、C調(調子のよいこと)に無責任が身上の平均(たいらひとし)が、東宝サラリーマン映画のテーマ「忠君愛社精神」「滅私奉公」を笑い飛ばして、「無責任社員」がどんどん出世して行く姿を描き、大ヒット。気をよくした東宝は、続けて『ニッポン無責任野郎』(1962)を製作し、「無責任男」ブームとなる。以後、1963年の『クレージー作戦 先手必勝』(監督久松静児(ひさまつせいじ)、1912―1990)から東宝=渡辺プロダクション提携作品となり、同年『日本一の色男』(監督古澤憲吾)で「一見無責任=実は有言実行男」へと軌道修正はあったものの、海外ロケものや時代劇なども含み、歌って踊ってさまざまな形で観客を楽しませた。
[坂尻昌平]