身上(読み)シンショウ

デジタル大辞泉の解説

しん‐しょう〔‐シヤウ〕【身上】

身の上。一身上のこと。しんじょう。
財産。資産。身代(しんだい)。また、家の経済状態。暮らし向き。「身上をこしらえる」「身上をつぶす」
給金。芝居関係者の間で用いられた語。
「身分だの―だのは…売出しの花形には及ばないまでも」〈万太郎・春泥〉
しんじょう(身上)2」に同じ。
「成るほど此話しを聞かして下さらぬが旦那様の―で」〈一葉・この子〉
身分。地位。家柄。
「足軽大将から下の―の人のなさるべき儀なり」〈甲陽軍鑑・四〇〉
身の上に降りかかる災い。一大事。
「羽織へ染(しみ)でもつけてみろ、―だあ」〈滑・七偏人・二〉

しん‐じょう〔‐ジヤウ〕【身上】

一身に関すること。身の上。しんしょう。「身上書」
その人に備わった価値。本領。とりえ。しんしょう。「粘り強さが彼女の身上だ」
からだ。からだの上。
「落葉を攅(あつ)めて―の衣となし」〈太平記・一二〉

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大辞林 第三版の解説

しんしょ【身上】

しんしょう【身上】

財産。身代しんだい。しんしょ。 「一代で-を築き上げた」 「 -をつぶす」
暮らし向き。家計。また、所帯の切り回し。 「 -の苦労」
本来のねうち。本領。しんじょう。
身分。地位。 「本蔵と由良助様、-が釣合はぬ/浄瑠璃・忠臣蔵」
一身にふりかかる災い。一大事。 「羽織へ染でもつけて見ろ-だあ/滑稽本・七偏人」
一身にかかわること。みのうえ。しんじょう。 → しんじょう
[句項目] 身上をはたく

しんじょう【身上】

一身上に関すること。みのうえ。
本来のねうち。とりえ。ねうち。 「素直さが-だ」
[0] 体の表面。体の上。 → しんしょう(身上)

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精選版 日本国語大辞典の解説

しん‐しょ【身上】

〘名〙 (「しんしょう(身上)」の変化した語)
① 経済状態。暮らし向き。また、財産・資産。
※随筆・胆大小心録(1808)一一二「しん上ならずは江戸へことおしゃる、江戸はしんしょのさだめかや」
② 本来のねうち。もちまえ。
※当世花詞粋仙人(1832)「もちまへの事を、しんしょ」

しん‐しょう ‥シャウ【身上】

〘名〙 (「しょう」は「上」の漢音)
① 一身にかかわること。みのうえ。しんじょう。
※田氏家集(889‐898頃)上・春日野寺道心「此外更無身上事
※こんてむつすむん地(1610)三「しんしゃうのなげきをしっかい御身にまかせ奉らぬものは、あやうからずといふ事なし」
② 一身に災いのふりかかるさま。一生の一大事。
※滑稽本・岡釣話(1819)「ありやを落したへ、とんだしんしゃうをしたの」
③ 身分。地位。身代。
※寸鉄録(1606)「ちいんのぎりなりとおもひて、かたはなをもちて、そのもののしんしゃうもわれも、はつるをけっこうとをもふつれぞ、これを『非義ノ義』といふなり」
※浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)九「本蔵と由良助様、身上が釣合ぬとな」
④ 生活するための経済状態。暮らし向き。また、財産・資産。しんしょ。身代。
※申楽談儀(1430)神事奉仕の事「神事を本にして、その間の身しゃう助からんための、上下なり」
洒落本・風俗八色談(1756)一「田作鱠に赤鰯の焼物は、身上(シンシャウ)に相応の祝ひと」
⑤ (「身上にありつく」「身上をかせぐ」などと用い) 生活を安定させたり、財産を得たりするための手段・方法。
※仮名草子・浮世物語(1665頃)三「今は昔、浮世房が止まりける御大名の家中へ身上(シンシャウ)を稼ぐ者あり」
※浮世草子・西鶴織留(1694)二「身上(シンシャウ)爰に極めて一日暮しに年をかさね」
⑥ 給金。芝居者の間に用いられる語。
※南水漫遊拾遺(1820頃)四「楽家通言〈略〉しんしゃう 給金の事」
⑦ 心の中。
※歌謡・粋の懐(1862)六・緒「芸妓(げいしゃ)幇間の腹袋(シンシャウ)を見透すこと、ギヤマンの燗瓶(かんびん)よりも鮮かなるべし」
⑧ 本来のねうち。本領。しんしょ。しんじょう。
※この子(1896)〈樋口一葉〉「成るほど此話しを聞かして下さらぬが旦那様の価値(シンショウ)で」

しん‐じょう ‥ジャウ【身上】

〘名〙
① 体の表面。
※太平記(14C後)一二「山城国笠置と云ふ深山に一の厳屋を卜め、落葉を攅(あつ)めて身上の衣と為し、菓(このみ)を拾うて口食と為して」
※車屋本謡曲・蝉丸(1430頃)「髪は身上よりおひのぼって星霜を戴(いただ)く」 〔白居易‐新楽府・売炭翁〕
② 一身にかかわること。みのうえ。しんしょう。
※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉前「諸有志者の身上に不測の大難を堕せしめんとは」 〔南史‐庾仲文伝〕
③ 財産。身代。しんしょう。
※落語・お若伊之助(1897)〈三代目春風亭柳枝〉「何万円と身上(シンジャウ)を持って居ながら洒落た遊びをなさると云ふ」
④ 本来のねうち。最大の取り柄。本領。しんしょう。
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一〇「長火鉢は拭き込んでてらてら光る所が身上なのだが」
⑤ 給金。芝居者の間に用いられる語。しんしょう。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕
⑥ (感動詞的に用いる) うまくいったこと。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「『二百下(さが)る』『身上身上(シンジャウシンジャウ)』」
[補注]②③④の用法については「しんしょう(身上)」と重なり、清濁の区別は判然としないが、現代では、特に②は多く「しんじょう」という。

み‐の‐うえ ‥うへ【身上】

〘名〙
① 自分の一身にかかわること。我が身のこと。また、自分の境遇。しんじょう。
※万葉(8C後)五・八九七「老いにてある 我が身上(みのうへ)に 病をと 加へてあれば」
※仮名草子・竹斎(1621‐23)下「いや何事も身のうへに覚えの無きと申けり」
② 一生の運命。一身上の大事。
※説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)下「此やう成ふるびたるおてらに、みやこのこくしの、やどふだを御うちありたは、ひじりの身の上とおぼしめし」
③ 世間の評判。面目。また、体面。江戸時代、役者の社会でいう。
※洒落本・仕懸文庫(1791)二「そんなことをいっておくんなせへすな、わっちが身のうへでござりやす〈身の上とは役者の通言〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の身上の言及

【歌舞伎】より

…そのぜいたくな生活ぶりが,しばしば幕府の弾圧を受けている。役者の給金(身上(しんしよう))は,江戸時代には年給で定められ,最高額の基準を1000両としたことから〈千両役者〉の称も生まれた。実際には,千両を超す年給を得る役者もいた。…

※「身上」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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