熊来郷(読み)くまきごう

日本歴史地名大系 「熊来郷」の解説

熊来郷
くまきごう

和名抄」所載の郷。東急本では「熊木」、高山寺本では「能来」と表記され、東急本は「久万支」、刊本は「久万岐」と訓ずる。郷域は七尾西湾西岸の熊木くまき川下流域、現中島なかじま町西部に比定される(能登志徴・加能郷土辞彙)。「万葉集」巻一六の能登国の歌三首に「梯立の熊来のやらに新羅斧」「梯立の熊来酒屋に真罵らる奴わし」で始まる歌がある。天平二〇年(七四八)大伴家持が越中国司として能登を巡行した際にも「能登郡の香島の津より発船して、熊来村を指して往く時に作る歌二首」として「香島より熊来を指して漕ぐ船の楫取る間なく都し思ほゆ」と詠じ(「万葉集」巻一七)、家持が加島かしま津から船に乗って熊来村へ来たことがわかる。


熊来郷
くまくごう

「和名抄」高山寺本・東急本とも「能束」とあるが熊来の誤りであろう。西尾市東北に「延喜式」神名帳所載播豆郡三座のうちの久麻久くまく神社があり、近辺に旧熊子くまこ村があるので、郷域は西尾市中心部を含んでその東北に及ぶと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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