西尾市(読み)ニシオシ

デジタル大辞泉 「西尾市」の意味・読み・例文・類語

にしお‐し〔にしを‐〕【西尾市】

西尾

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日本歴史地名大系 「西尾市」の解説

西尾市
にしおし

面積:七五・〇三平方キロ

愛知県南部、西三河平野の南に位置し、矢作川が市の北端を南西流して知多ちた湾に注ぎ、矢作古やはぎふる川が市の東部を南流して三河湾に注ぐ。起伏に乏しい単調な地形の東部を限って、北から最明寺さいみようじ山・万灯まんとう山・茶臼ちやうす山がある。また東部山地の西方一帯の沖積低地上に、標高三〇―四〇メートルの山が塊状をなし、その南に大郷だいごう山・雲母うんも山がある。

西尾の地名起源に二説ある。一は「三河郡村生記」(岩瀬文庫蔵)に「久麻久郷 丹羽国ヨリ久麻久連来テ開地也。志許家・八面・戸賀前・煮塩・寄須美・味前」とあり、煮塩に起こるというもの、二は「西尾古伝集」に「吉良山の西の尾にありし故西尾と号せし」である。永禄七年(一五六四)酒井政家が御剣みつるぎ八幡宮に奉納した鰐口の銘に「三州国吉良荘西尾御劔鰐口」とあるのが初見。

〔原始・古代〕

下羽角しもはすみ住崎すみさきの一角から、先土器時代の遺物有舌尖頭器が発見されている。原始時代の人々が残した最古の遺物である。市域最古の遺跡は釜田かまだ貝塚で、縄文前期に属する。後期の八王子はちおうじ貝塚をはじめ八ヵ所の遺跡が、弥生文化の時代へつながる。弥生時代の遺跡は一八ヵ所、このうち一二が高地性遺跡、四が低地性遺跡である。清水しみず貝塚は縄文文化から弥生文化への発展を示す貴重な遺跡。明治三〇年(一八九七)川崎かわさき村大字小島おじまから、銅鐸が出土した。古墳は、丘陵や山地上およびその平地に臨む傾斜面、または台地上に分布する。羽角山古墳群浅井山あさいやま古墳群・大郷山だいごうやま古墳群・刈宿かりやど古墳群がこれで、古墳時代中期から後期にかけてのもの。

西浅井・小島・米津よねづ志貴野しきの各町から出土する布目瓦は、奈良時代を下らないものと推定されるところから、この辺りは矢作川流域の北野きたの廃寺文化圏に属するものと思われる。「和漢三才図会」に「参河雲母山に多く出ててよく」とあり、元明天皇の和銅六年(七一三)には「雲母献上」があり(続日本紀)、太倭(現奈良県)と三河に雲母を献上させることにしたこの記事は、三河の雲母山(八ッ面山)とするのが通説である。雲母は、古来医薬として用いられていたので(大同類聚方)、雲母山の雲母は、藤原京や平城京へ運ばれて、女官らに薬として用いられたと思われる。

和名抄」に記される幡豆はず郡八郷のうち、熊来くまく大川おおかわ八田やたの三郷が市域に比定される。このうち熊来郷の中心は、その名の示すように、のちの熊子くまこ村付近にあったと思われる。熊来郷の人々が崇敬した久麻久くまく神社が「延喜式」にみえる。


西尾市
にしおし

2011年4月1日:西尾市が幡豆郡一色町吉良町幡豆町を編入
【一色町】愛知県:幡豆郡
【吉良町】愛知県:幡豆郡
【幡豆町】愛知県:幡豆郡
【西尾市】愛知県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西尾市」の意味・わかりやすい解説

西尾〔市〕
にしお

愛知県南部,矢作川河口東岸に広がる市。1889年町制。1906年久麻久村と,西野町村,奥津村,大宝村 3村の一部と合体。1952年福地村の一部を編入。1953年平坂町の一部を編入して市制。1954年平坂町,寺津町の 2町と福地村,室場村の 2村,1955年三和村と明治村の一部をそれぞれ編入。2011年一色町,吉良町,幡豆町を編入。江戸時代には松平氏 6万石の城下町,平坂を外港とする港町として発展。本町には豪商が軒を並べ,岡崎,豊橋と並ぶ三河三都と称された。また近世から三河木綿の産地として知られ,明治時代中頃には近代工場が出現し,白木綿の生産が開始された。北部に多数の工場が立地し,繊維製品を生産している。中畑地区では西三河地方の特産がら紡も一時行なわれていた。享保5(1720)年頃江戸の鋳物師によって始められたという鋳物業は,近代以降は自動車部品その他の各種機械の生産と結合しており,大部分が小企業。北西部の洪積台地には,江戸時代に京都の宇治(→宇治市)から導入された茶畑があり,抹茶(碾茶)の生産量は全国有数。南部の福地地区の苗木も有名。神明社の大シイは国の天然記念物に指定されている。名古屋鉄道西尾線,国道23号線,247号線が通る。面積 161.22km2。人口 16万9046(2020)。

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