熱伝導真空計(読み)ネツデンドウシンクウケイ(その他表記)thermal conductivity vacuum gauge

化学辞典 第2版 「熱伝導真空計」の解説

熱伝導真空計
ネツデンドウシンクウケイ
thermal conductivity vacuum gauge

希薄気体熱伝導率は,気体分子の平均自由行程が装置の大きさに比べて大きい範囲の圧力では圧力に依存する.気体のこの性質を利用した真空計を総称して熱伝導真空計という.この種の真空計の代表的なものにはピラニ真空計,熱電対真空計およびサーミスター真空計がある.ピラニゲージおよび熱電対真空計のフィラメントには,普通,タングステン白金タンタルなどの細線が用いられ,電気的に加熱して作動させるのであるが,フィラメントの加熱に一定電流を流す方法と,フィラメントに一定電圧を加える方法とがある.いずれの場合にも,フィラメントの温度変化を測定して,そのときの真空度を知るのであるが,フィラメントが一定温度になるように電圧と電流を制御し,そのときの電力の大きさから真空度を知る方法もある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱伝導真空計」の意味・わかりやすい解説

熱伝導真空計
ねつでんどうしんくうけい
thermal conductivity vacuum gauge

気体の熱伝導率が真空度 (圧力) によって変化することを利用した真空計。ピラニ真空計では,タングステンや白金のフィラメントに一定の電流を流して加熱し,そこから失われる熱量が真空度によって異なることを利用して発熱体の温度変化による電気抵抗の変化を測定して真空度を知る。測定範囲は 10~10-3 Torrであるが,圧力変化だけなら 10-6 Torrも測定できる (1Torr≒133Pa) 。サーミスタ真空計では,フィラメントの代りにサーミスタを使う。抵抗線の温度変化を熱電対で測定するのが熱電対真空計である。構造が簡単なので,電力用の真空開閉器などに用いられる。高真空になると,熱伝導率の影響よりも真空度に関係しない熱放射の影響のほうが大きくなるので,10-3 Torr以下の高真空の測定はできない。

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