ピラニ真空計（読み）ピラニシンクウケイ（その他表記）Pirani gauge

デジタル大辞泉

ピラニ‐しんくうけい【ピラニ真空計】

代表的な真空計の一。真空に近い低圧力の下では、気体の熱伝導率が圧力に比例する性質を利用する。通電加熱した金属フィラメントの温度変化を、電気抵抗の変化や熱電対により測定し、気体の圧力を求める。測定範囲は1000分の1～100パスカル程度。ピラニゲージ。

出典　小学館

日本大百科全書(ニッポニカ)

ピラニ真空計
ぴらにしんくうけい
Pirani gauge

真空中の残留気体による熱放散の度合いによって真空圧力を求める計器で、測定精度はあまり高くないが、測定範囲が広いこと（100～10^-3パスカル程度）とじょうぶであることが特徴である。ピラニ管とよばれる管球中に張られた細い電熱線を一定電流で加熱すると、その温度が真空圧力に応じて上昇し、それに比例して電気抵抗が増大する。この変化を検出して真空圧力（真空度）を指示する。電熱線からの熱の放散には気体によるもののほか、放射によるもの、および導線からの熱伝導によるものが含まれているので、この影響を取り除くために、同じ構造で一定の真空を封じ込めたダミー管を用意し、これとピラニ管とを比較することによって正確な測定を行うようにくふうされている。動作状態のまま常圧を加えても壊れることがないので、真空度が大きく変化する場合などに有用であり、監視用計器として用いられる。

［三井清人］

[参照項目] | 真空計

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

化学辞典 第2版

ピラニ真空計
ピラニシンクウケイ
Pirani gauge

1906年にM. Piraniが発表した真空計．熱伝導真空計の一種で，低圧気体中の加熱されたフィラメントの抵抗の変化を読みとって真空度を測定する．フィラメントの加熱方法によって，定電圧型と定温度型の2種類がある．定電圧型ピラニ真空計は，圧力の変化によるフィラメントの電気抵抗の変化をブリッジを使用して測定する方法である．一方，定温度型ピラニ真空計は，圧力が変化しても電気抵抗がつねに一定となるようにフィラメント電流を増減させる電気回路を使用し，そのときの電流と電圧とから，電気出力により気体圧力を測定する方法である．

出典　森北出版「化学辞典（第2版）」

改訂新版　世界大百科事典

ピラニ真空計 (ピラニしんくうけい)

→真空計

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ピラニ真空計
ピラニしんくうけい

「熱伝導真空計」のページをご覧ください。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

世界大百科事典（旧版）内のピラニ真空計の言及

【真空計】より

…圧縮された気体の体積は，毛管の断面積がa，水銀面から封管の先端までの距離がxであればaxであり，ボイルの法則によるPV＝paxとp＝P＋hρg(ρは水銀の密度，gは重力の加速度)の関係から，P＝hρg･ax/(V－ax)が求まる。ピラニ真空計Pirani gaugeというのは，図2のように，細い金属線を張っただけの単純な構造をしており，低圧領域で気体の熱伝導が圧力によって変わる現象を金属線の電気抵抗の変化から読みとる。金属線は通常タングステンや白金の細線で，電気的に加熱してある。…

※「ピラニ真空計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」