熱傷の重症度

六訂版 家庭医学大全科 「熱傷の重症度」の解説

熱傷の重症度
(外傷)

 熱傷重症度の判定は、熱傷の深度面積などにより行われます。同程度の傷害でも、小児や高齢者ではより重症になることを忘れてはいけません。

①熱傷深度の判定

 まず、自発痛の有無をチェックすることが有用で、痛みがあればⅠ度熱傷かⅡ度熱傷、痛みがなければⅢ度熱傷か健常皮膚(非熱傷)ということになります。

 重要な点は、重症度に影響があるⅡ度熱傷とⅢ度熱傷を判定することです。

②熱傷面積の判定

 深度の判定に続いて、Ⅱ度熱傷とⅢ度熱傷についてそれぞれの受傷面積を算定します(図59)。

 簡便法として、9の法則、5の法則などがありますが、本文でも述べた手掌法(手のひらがおおむね体表面積の1%にあたる)も有用です。

 一般的に成人で体表面積の30%以上、幼小児で15%以上の場合には重症熱傷と定義されています。

 入院を必要とする重症熱傷の頻度は、およそ2.5~3.0人/人口10万/年(東京都救急熱傷連絡協議会の統計)と考えられています。

③熱傷指数

 熱傷指数というのは、熱傷深度と熱傷面積を組み合わせた重症度の指標です。以下の式により算出され、大きい値ほど重症度も高くなります。

・熱傷指数=Ⅱ度熱傷面積(%)の1/2

      +Ⅲ度熱傷面積(%)

④年齢

 生命予後という点から考えると、年齢は重要な因子といえます。一般に、10歳未満の小児と60歳以上の高齢者で死亡率は高いとされています。

 前述した熱傷指数に年齢を加えた和は予後熱傷指数と呼ばれ、以下の式により算出されます。この値が100を超えると救命が困難だとされていますが、医療技術の進歩などにより救命率は向上しています。

・予後熱傷指数=年齢+熱傷指数

⑤重症度の判定基準

 熱傷の重症度の判定基準と収容施設のガイドライン(Artzの基準)を表7に示します。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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