日本大百科全書(ニッポニカ) 「体表面積」の意味・わかりやすい解説
体表面積
たいひょうめんせき
体の表面の総面積をいう。体表面積を正確に測定するのは容易ではないが、実際上は体の全表面に小紙片をはり、その総面積から体表面積を割り出していく。こうした体表面積を算出するにはいろいろの実験式がつくられているが、一般にはデュ・ボアの式(アメリカの生理学者E. F. Du Bois(1882―1957)にちなむ)が用いられている。この式に基づいて計算した算出表もできているため、身長と体重がわかれば、体表面積はすぐに算出できる。しかし、日本人成人では、欧米人に比べると体幹と手足の比率が異なるため、日本人を対象とした高比良(たかひら)の式、越智(おち)の式などがつくられている(それぞれ高比良英雄、越智匞(たくみ)による)。また、新生児、乳幼児、小児などは成人とは比率が大きく異なることから、大城(おおしろ)の式、大谷(おおたに)の式などが用いられている(それぞれ大城千萬人(ちまと)、大谷國吉による)。動物の体表面積についても同様な実験式がつくられている。なお日本人成人の体表面積は、男子約1.62平方メートル、女子約1.43平方メートルとされている。
ドイツの生理学者ルーブナーM. Rubner(1854―1932)は、恒温動物の基礎代謝量は動物種や体重にかかわらず、体表面積にほぼ比例するとし、体表面積の法則(体表律)を提唱した。すなわち、ヒトにおいても、その基礎代謝量は、体重や身長などよりも、体表面積と密接な比例関係があるとするもので、体表面積の測定値から基礎代謝量が算出できるという考えである。体表面積の算出法については、古くから多くの学者の研究対象となっている。日本人の基礎代謝量は、体表面積1平方メートル当り毎時35~37キロカロリーとされる。体表面積を求めてから、毎時・毎平方メートルの基礎代謝量を乗ずれば、1日の基礎代謝量は次のように計算される。基礎代謝量=毎時・毎平方メートル代謝量×体表面積×24。
[嶋井和世]