燕尾(読み)エンビ

デジタル大辞泉 「燕尾」の意味・読み・例文・類語

えん‐び【×燕尾】

ツバメの尾。
冠のえいの一。先が円形の裾開きの纓。加冠の際に用いる。
やじりの一で、末端二つに分かれたもの。
掛け軸の表装で、上部中央に並べて垂らしてある二条の細長い布。

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精選版 日本国語大辞典 「燕尾」の意味・読み・例文・類語

えん‐び【燕尾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (つばめ)の尾。
  3. 冠に付属する纓(えい)の一種。纓尻(えじり)が円形である纓をいう。中世以来、加冠の際に用いる。
    1. [初出の実例]「次加冠立座進入、冠者額結」(出典:江家次第(1111頃)二〇)
  4. ( を誤用して ) 纓(えい)をいう。
    1. [初出の実例]「昔、法頂のかづく燕尾(エンビ)といふ物をみて、あれはゑぼしといふかととふ者有」(出典:咄本・私可多咄(1671)三)
  5. (やじり)の形状による名称で、雁股(かりまた)の鏃の一種。
  6. 掛軸の表装で、上部の中央に並べて垂らした二条の細長い布。
  7. えんびぼう(燕尾帽)日葡辞書(1603‐04)〕
  8. 南画で、竹の葉の描き方の一法をいう。竹の葉が二枚出ている様のうち、燕の尾に似た方のもの。

つばめ‐お‥を【燕尾】

  1. 〘 名詞 〙 ツバメの尾のように二またに分かれた細長い魚の尾。燕尾(えんび)型の魚類の尾。

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世界大百科事典(旧版)内の燕尾の言及

【冠】より

…なお江戸時代の中ごろから天皇の纓は巾子の後に直立し,いわゆる立纓冠(りゆうえいのかん)ができた。纓にはその端が方形をなすものと,円形をなすものとがあったが,後世は一般に方形のものが用いられ,これをなお燕尾(えんび)と称した。皇太子元服のときにこの燕尾の纓が用いられるのは,その旧形を伝えたものであるといえよう。…

※「燕尾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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