百科事典マイペディア 「牛原荘」の意味・わかりやすい解説
牛原荘【うしがはらのしょう】
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越前国大野郡(現,大野市)の醍醐寺領荘園。荘域は南・北・中夾・庄林の4ヵ所から成り,総田数460余町,年貢500石であった。本主東大寺五師忠範が右大臣源顕房を通じて醍醐寺に寄進し,1086年(応徳3),白河院中宮藤原賢子の御願寺円光院領として立荘された。当初荒野200町,見作田25町の同荘は,浪人を招き寄せてしだいに開発され,度重なる国司の押妨を排除して,座主の直接支配する醍醐寺領主要荘園となった。鎌倉初頭,二階堂行政が同荘地頭に補任され,承久の乱後の地頭時盛は,地頭代・惣追捕使・公文(くもん)らを入部させて非法を行い,寺家の支配を脅かした。鎌倉末から室町期の同荘は,牛原・丁(ようろ)・庄林・井野部の4ヵ郷に分かれ,1395年(応永2)に越前守護斯波義将は4ヵ郷を醍醐寺雑掌に打ち渡している。醍醐寺の同荘領有は,応仁・文明の乱のころ崩壊し,同寺三宝院文書の中にその名がみられなくなる。
執筆者:戸田 芳実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…奈良時代に成立した東大寺の広大な墾田地系荘園が平安時代に入って衰亡すると,鎌倉期にかけて越前では新しく寄進地系を中心とした皇室や摂関家,大寺社の荘園が生まれた。坂井郡では興福寺兼春日社領河口荘・坪江荘,長講堂領坂北荘,吉田郡では最勝光院領志比荘,山門領藤島荘,皇室領河北荘(河合荘),足羽郡では近衛家領宇坂荘,伊勢神宮領(後に一条家領)足羽御厨,一条家領東郷荘,大野郡では醍醐寺領牛原(うしがはら)荘,春日社領泉荘・小山荘,丹生郡では妙法院領織田荘など大規模な荘園が存在した。これに対し国府(府中)を中心とする今立,南条郡一帯は国衙領が多く荘保も皇室領を中心として小規模なもので占められた。…
※「牛原荘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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