日本歴史地名大系 「犬鳴川」の解説 犬鳴川いぬなきがわ 福岡県:鞍手郡犬鳴川遠賀(おんが)川水系に属する一級河川で、全長二四・九キロ、流域面積一六五平方キロ。「いぬなき」は「いんなき」ともいった。若宮(わかみや)町の犬鳴山を源流とし、黒丸(くろまる)川・山口(やまぐち)川・有木(あるき)川・倉久(くらひさ)川・八木山(やきやま)川などの支流を合せながら北東方向に流れ、宮田(みやた)町を経て直方(のおがた)市植木(うえき)で遠賀川に合流する。万治元年(一六五八)下流の植木に遠賀川の西側一帯を灌漑する花(はな)ノ木(き)堰が築造された。嘉永六年(一八五三)の旱魃では宮田村・本城(ほんじよう)村・竜徳(りゆうとく)村・長井鶴(ながいづる)村(現宮田町)などで井手を築いて田に水を引いたため、川下の花ノ木堰の灌漑に頼る遠賀・鞍手両郡一三ヵ村の百姓数百人が押寄せ、これを聞きつけて鶴田(つるだ)村(現宮田町)水越の土手に集結した三〇〇人余の百姓との間で一触即発の事態となり、安政二年(一八五五)の旱魃でも同じような水騒動が起きている(宮田町誌)。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by