玄翁(読み)げんのう

精選版 日本国語大辞典 「玄翁」の意味・読み・例文・類語

げんのうゲンヲウ【玄翁・源翁】

  1. ( 「げんおう」の連声(れんじょう) )
  2. [ 1 ] 南北朝時代の曹洞宗の僧。諱(いみな)は心昭。越後の人。総持寺の峨山紹碩(がざんしょうせき)に師事し、伯耆国の退林寺、下野国の泉渓寺などを開山。下野国那須野が原の殺生石を打ち砕いた故事は、謡曲「殺生石」の題材となる。嘉暦元~応永三年(一三二六‐九六
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 「玄能」はあて字 ) 玄翁和尚がこれで殺生石を砕いたという伝説に由来した鉄製の鎚。矢割や玄翁払いに用いる石工用と、釘打ち、のみ叩(たた)き、木殺しなどに用いる大工用とがある。
    1. [初出の実例]「以鋤鍬玄翁鶴觜崩磊築地」(出典柴田退治記(1583))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の玄翁の言及

【玉藻前】より

…この妖狐は,陰陽師安倍泰成に正体を見破られ,那須野に逃げるが射殺され,その霊は石と化して近寄る人や鳥獣を殺す殺生石(せつしようせき)になったという。のちに玄翁(げんのう)和尚の法力で,妖狐の精魂は散滅させられた。石を砕くときに用いる大金づちを玄翁というのは,殺生石を砕いたという,この玄翁和尚の故事によるという。…

【槌】より

…木製頭では,破壊用の武器にも土木や建築工事にも用いる大型の掛矢,その小型の才槌などがある。鉄製では鍛冶の向槌としての大槌もあるが,その小型のもので木工の鑿(のみ)打ち,釘打ちに用いられる玄翁(能)(げんのう)がある。玄翁は,鎌倉時代の僧で那須の殺生石を鉄槌で割った人に由来するといわれている。…

※「玄翁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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