玄能(読み)ゲンノウ

デジタル大辞泉「玄能」の解説

げんのう【玄能】

頭の両端にとがった部分のない金槌かなづち。石を割ったり、のみをたたいたりするのに用い、石工用と大工用がある。
[補説]玄翁げんのう和尚が殺生石を砕いたという伝説に由来する。「玄能」は当て字。「玄翁」とも書く。
[類語]金槌鉄槌ハンマーとんかち木槌掛け矢才槌

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日本大百科全書(ニッポニカ)「玄能」の解説

玄能
げんのう

槌(つち)の一種。源翁、玄翁とも書く。玄能は、おもに石を割ったり、のみや釘(くぎ)をたたく際に使用する道具で、頭と柄(え)からできている。頭の両端は鋼を鍛接してあり、柄はおもにカシ材が用いられることが多い。両小口(こぐち)に同じ大きさの面をもつ両口玄能のほか、頭部の片側がとがり、小さな面となる舟手(ふなて)玄能、片口玄能などがある。

 両口玄能の小口は、片方は平らで、もう一方は小口の中央が少し膨らんでいる。釘を打ち込むときには、まず平らな面で打ち込み、最後に玄能の面を変えて、中央が膨らんだ面でたたき締めるためのもので、木の表面に傷をつけないように工夫されている。これを「木殺し面」という。

 玄能の頭の断面によって、丸、楕円(だえん)、四角、八角、達磨(だるま)、一文字などがあり、また、頭の大きさは重量で表される。現在でも匁(もんめ)に対応した重さでつくられ、大玄能(300匁、1125グラム、大仕事用)、玄能(100匁、375グラム、荒仕事用)、中玄能(70~80匁、260~300グラム、見習大工用)、小玄能(50~60匁、180~240グラム、造作・建具用)、豆玄能などに区別される。中玄能、小玄能、豆玄能はおもに釘打ちに使用されている。

[赤尾建蔵 2021年7月16日]

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世界大百科事典内の玄能の言及

【槌】より

…ものを打ちたたく工具の総称(図)。頭は木製か鉄製で円筒形をなし,T字形に木柄がつくが,柄が縦方向につく砧槌(きぬたづち)や両頭の杵槌(きねづち)などもある。《和名抄》に椓撃(たくげき)(掛矢(かけや)),柊揆(さいづち)(才槌),槌(かなづち)(鉄槌)などがあり,10世紀以前に現在の槌の大部分が出そろっていたと推測される。木製頭では,破壊用の武器にも土木や建築工事にも用いる大型の掛矢,その小型の才槌などがある。…

※「玄能」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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