朝日日本歴史人物事典 「玄証」の解説
玄証
生年:久安2(1146)
平安末から鎌倉初期の真言宗の僧。密教の 白描図像研究家。覚鑁の弟子の証印から広沢流を,その後勧修寺の仁済から小野流も授法するなど広く真言宗諸派を学ぶ。高野山の月上院に住んで,密教図像の転写・収集に努めた。玄証の花押のある密教図像は高山寺に多数が伝来(現在は散逸)し,玄証本と呼ばれていた。その中には玄証自筆でない収集本も混じると考えられるが,自筆とみられるものの描線は伸びやかであり,その画技の高さがうかがわれる。承元2(1208)年における生存と,貞応1(1222)年までの死去が確認される。<参考文献>土宜成雄『玄証阿闍梨の研究』
(矢島新)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報