玉調郷(読み)たまつきごう

日本歴史地名大系 「玉調郷」の解説

玉調郷
たまつきごう

和名抄」にみえる郷名。同書の高山寺本をはじめ諸本とも上県郡のうちとするが、これは下県郡の誤り。諸本とも玉調と記し、訓を欠く。現美津島みつしま町の内浅海うちあそうに臨んで玉調たまづけという浦があり遺称地と考えられる。この浦の一帯に玉調浦遺跡や三浦みうら湾の松崎まつざき遺跡、和田わだ浦の墳墓群など弥生時代から古墳時代にわたる遺跡が多く分布、古代の要地であったことがうかがえる。「万葉集」巻一五に二首を載せる「対馬娘子名玉槻」は当郷海女かとされ、また「延喜式」雑式に対馬島真珠を私的に購入できなかった王臣家の使いが起こした擾乱が記され、真珠の調貢が玉調の地名の由来と推定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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