改訂新版 世界大百科事典 「王国基本法」の意味・わかりやすい解説
王国基本法 (おうこくきほんほう)
Lois fondamentales du royaume
フランス国王の絶対的君主権を制限し,国王といえども変更できなかった慣習的諸規制の総体をいう。その基本理念は,王朝の持続と王冠の独立という二つに集約される。諸規制のリストは成文化されなかったが,次の8点にまとめられる。(1)フランスの政体は男系長子相続による世襲君主制である。(2)女性ならびに庶子は王位相続から除外される。これはサリカ法典によるもので,1358年に援用され,1593年に追認された。(3)国王の成年は13歳とされ,未成年の間には摂政がおかれる。摂政職は王母,王母がいないときは血統第一親王がつかさどる。(4)国王が死ねば,ただちに正当な継承人が王位を継ぐ。聖別式は王権に神聖性を付与する儀式であって,国王を承認するものではない。(5)国王は聖別式で,フランスの司教たちの教会法上の特権,戒律,正義を守り,フランスのキリスト教の平和と正義を保護し,異端者の追放を誓う。(6)国王はカトリック教徒であらねばならない。この原則は1594年のアンリ4世の聖別式によって確認された。(7)王領地は譲渡不可である。(8)俗権は教権から独立している。以上に加えて,購入した官職の終身性と世襲性,新税導入にあたっては全国三部会の承認を経なければならないこと(1614年以後,全国三部会は召集されなかったので,各地の高等法院が肩代りした)を挙げることができる。
執筆者:志垣 嘉夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報