珊瑚集(読み)サンゴシュウ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「珊瑚集」の意味・わかりやすい解説

珊瑚集
さんごしゅう

永井荷風(かふう)の訳詩集。1913年(大正2)籾山(もみやま)書店刊行の初版では、訳詩38編のほか、モーパッサンロチプレボーなどの紹介、翻訳、評論など9編を収録。19年春陽堂版『荷風全集』収録以後、訳詩のみで編集、この名が冠せられている。外遊を通じて得られた19世紀末フランス文学への理解と詩人的稟質(ひんしつ)、言語感覚との結合による所産である。ボードレール、ベルレーヌ、レニエ、ノアイユ夫人サマンなどのフランス近代詩人の作品を自己の趣味に即して選び、味わいのある訳詩集の世界を構築しており、上田敏(びん)の『海潮音』(1905)とは別の意味で、北原白秋(はくしゅう)、三木露風(ろふう)ら同時代の若い詩人に影響を与えた。日本近代文学館刊の復刻版がある。

[竹盛天雄]

『『珊瑚集』(岩波文庫)』『『荷風全集11』(1971・岩波書店)』

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