ノアイユ夫人(読み)ノアイユふじん(その他表記)Noailles, Anna(-Élizabeth, princesse Brancovan, comtesse Mathieu) de

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノアイユ夫人」の意味・わかりやすい解説

ノアイユ夫人
ノアイユふじん
Noailles, Anna(-Élizabeth, princesse Brancovan, comtesse Mathieu) de

[生]1876.11.15. パリ
[没]1933.4.30. パリ
フランスの女流詩人。ルーマニアの名門ブランコバン大公家に生れ,1897年ノアイユ伯爵と結婚。擬古典的形式のうちに,ロマン派以来失われていた抒情性を横溢させ,自然の風景の与える感動を新鮮な感受性をもって歌った。処女詩集『百千の心』 Le Cœur innombrable (1901) 以下,『日々の影』L'Ombre des jours (02) ,『めくるめき』 Les Éblouissements (07) ,『生者と死者』 Les Vivants et les Morts (13) ,『永遠の力』 Les Forces éternelles (21) ,『苦しみという名誉』L'Honneur de souffrir (27) のほか小説『新しい希望』 La Nouvelle Espérance (03) ,回想録『わが人生の書』 Le Livre de ma vie (32) 。 M.バレスプルーストコクトーとの交遊でも有名。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ノアイユ夫人」の意味・わかりやすい解説

ノアイユ夫人 (ノアイユふじん)
Anna,princesse Brancovan,comtesse Mathieu de Noailles
生没年:1876-1933

フランスの女流詩人。ルーマニアの名家の娘としてパリに生まれ,ノアイユ伯爵の夫人となり,詩集《無数の心》(1901)によって20世紀初頭の新ロマン主義を代表する存在となった。ほかに《日々の影》(1902),《生者と死者》(1913),《永遠の力》(1920)などが知られ,彼女のサロンには多くの文人が集まり,第1次世界大戦前の文壇に重きをなした。その詩風はロマン主義的な情熱を気品ある伝統的な詩型に盛ったもので,ほかに小説が数編ある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノアイユ夫人」の意味・わかりやすい解説

ノアイユ夫人
のあいゆふじん
Anna, princesse Brancovan, comtesse Mathieu de Noailles
(1876―1933)

フランスの女流詩人、小説家。ルーマニアの大公家の娘としてパリに生まれ、フランスのマチュー・ド・ノアイユ伯爵に嫁す。象徴派の詩の衰退に次いで20世紀初頭におこったロマン主義的叙情の復活を代表する。アカデミー・フランセーズの賞を受けた処女詩集『数知れぬ心』Le Coeur innombrable(1901)をはじめ数冊の詩集を発表、自然との交感を官能的に表現し、さらに、移ろいやすい愛と人生に寄せる感慨、死に対する悲痛な感情を吐露している。

横張 誠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android