環状筋(読み)かんじょうきん

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「環状筋」の意味・わかりやすい解説

環状筋
かんじょうきん

動物の体壁や器官を環状に取り囲む平滑筋層をいう。たとえば環形動物のミミズなどの体壁は輪状筋(輪走筋)と縦走筋よりなる環状筋があり、この収縮弛緩(しかん)により運動する。縦走筋が収縮すればその部分は短く太くなり、輪状筋が収縮すれば細く長くなる。体の長軸に沿ってこの膨らみの波が伝わることにより、動物は蠕動(ぜんどう)運動を行って前進する。頭足類のイカなどは外套膜(がいとうまく)の輪状筋を収縮させ、外套腔(こう)内の海水を噴射して前進する。脊椎(せきつい)動物の腸管を取り囲む環状筋も蠕動運動をして腸の内容物を肛門(こうもん)のほうに押しやる働きをする。

[守 隆夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の環状筋の言及

【環形動物】より

…ヒル類ではこれらの剛毛もなくなり,吸盤が体の前後の腹面にある。 体壁は外側の環状筋と内側の縦走筋からなるが,発達の程度は種類によって異なっている。この両者の中間に斜行筋が発達しているものもある。…

※「環状筋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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