生物毒素による中毒

内科学 第10版の解説

生物毒素による中毒(有機物質中毒)

(10)生物毒素による中毒
a.フグ中毒
 マフグの卵巣や肝臓に多く含まれるテトロドトキシンを摂取することにより発症する.神経,筋の膜電位依存性Na+チャネルが遮断され,口唇や指先からはじまり全身に広がる感覚障害,骨格筋麻痺,構音障害,呼吸筋麻痺をきたす.重症例では意識も障害され,血圧も著明に低下する.呼吸管理や適切な処置により救命できる.
b.麻痺性貝中毒
 麻痺性貝毒を産生するプランクトンを食べる二枚貝をヒトが摂取することにより発症する.テトロドトキシンと同様に神経,筋細胞膜のNa+チャネルが遮断され,感覚障害,運動障害,重症例では呼吸筋麻痺をきたし,死亡にいたる例もある.重症例では呼吸管理を行う.
c.毒キノコ中毒
 9月から11月にかけて,テングダケ,ベニテングダケなどの摂取で副交感神経麻痺型の中毒症状(悪心,下痢・腹痛,散瞳,視力障害,幻覚・妄想,意識障害)を,アセタケ,オオキヌハダトマヤタケなどの摂取で副交感神経興奮型の中毒症状(流涎,発汗過多,下痢,縮瞳,散瞳,視力障害,幻覚,意識障害,呼吸困難)を,ワライタケ,ヒカゲシビレタケなどの摂取で中枢神経麻痺型の中毒症状(不快な酩酊感,幻覚,記憶力減退,笑う・踊るなどの混迷状態,錯乱状態)を生じる.アトロピン症状にはネオスチグミンを,ムスカリン症状にはアトロピンを,暴れる患者などにはクロルプロマジンなどを投与する.[内野 誠]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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