散瞳(読み)サンドウ

デジタル大辞泉 「散瞳」の意味・読み・例文・類語

さん‐どう【散瞳】

瞳孔が散大した状態。生理的には暗い所で起こり、病的には脳内出血緑内障などで起こる。⇔縮瞳

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精選版 日本国語大辞典 「散瞳」の意味・読み・例文・類語

さん‐どう【散瞳】

  1. 〘 名詞 〙 瞳孔が散大すること。暗い所では多量の光を進入させるため生理的に散大するが、病的には瞳孔括約筋麻痺したり、瞳孔散大筋けいれんしたりすると起こる。瞳孔拡大。
    1. [初出の実例]「眼科で硫酸アトロピンとして、散瞳(サンドウ)用によく使っています」(出典長い長い眠り(1960)〈結城昌治〉一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「散瞳」の意味・わかりやすい解説

散瞳
さんどう

瞳孔が大きくなった状態をいう。瞳孔は、暗い所や、驚き、悲しみ、痛みなどで反射的に散瞳する。年齢的にも新生児や老人では小さく2ミリメートルぐらい、20歳前後で最大の4~6ミリメートルとなる。瞳孔の大きさは瞳孔括約筋と瞳孔散大筋の相互作用で変化し、前者は副交感神経、後者は交感神経に支配されている。病的散瞳は瞳孔括約筋の麻痺(まひ)や散大筋のけいれんでおき、実際には動眼神経麻痺頭部や眼の外傷、脳内出血、脳腫瘍(しゅよう)、各種中毒、緑内障の急性発作などでおこる。また、副交感神経麻痺剤(アトロピン、サイプレジン、ミドリンなど)や交感神経刺激剤(アドレナリン、ネオシネジンなど)の点眼で散瞳がおこる。これら散瞳薬は眼底検査や子供の屈折矯正、虹彩(こうさい)毛様体炎の治療に使われる。

[小暮美津子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「散瞳」の意味・わかりやすい解説

散瞳
さんどう
mydriasis

瞳孔が拡大すること。瞳孔括約筋の麻痺による場合と,瞳孔散大筋のけいれんによる場合とがある。前者は,動眼神経麻痺,副交感神経麻痺剤 (アトロピン,ホマトロピン,ミドリンなど) の点眼,外傷,緑内障などが原因で起り,瞳孔は極度に拡大し,対光反応と輻輳反応が消失する。後者は交感神経刺激剤 (コカイン,塩酸フェニレフリンなど) の点眼,驚いたときなどに起り,瞳孔は中等度に拡大し,対光反応も輻輳反応も存在する。ほか臨終の際にも現れる。

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改訂新版 世界大百科事典 「散瞳」の意味・わかりやすい解説

散瞳 (さんどう)

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世界大百科事典(旧版)内の散瞳の言及

【瞳孔】より

…明るいところでは,瞳孔を小さくし(これを縮瞳miosisという),眼球内に入ってくる光の量を少なくする。暗いところでは,逆に瞳孔を大きくし(これを散瞳mydriasisという),眼球内に入ってくる光の量を多くする。縮瞳は瞳孔括約筋(副交感神経支配)の収縮,または瞳孔散大筋(交感神経支配)の弛緩によって起こり,散瞳は瞳孔散大筋の収縮,または括約筋の弛緩によって起こる。…

※「散瞳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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