瞳孔が大きくなった状態をいう。瞳孔は、暗い所や、驚き、悲しみ、痛みなどで反射的に散瞳する。年齢的にも新生児や老人では小さく2ミリメートルぐらい、20歳前後で最大の4~6ミリメートルとなる。瞳孔の大きさは瞳孔括約筋と瞳孔散大筋の相互作用で変化し、前者は副交感神経、後者は交感神経に支配されている。病的散瞳は瞳孔括約筋の麻痺(まひ)や散大筋のけいれんでおき、実際には動眼神経麻痺、頭部や眼の外傷、脳内出血、脳腫瘍(しゅよう)、各種中毒、緑内障の急性発作などでおこる。また、副交感神経麻痺剤(アトロピン、サイプレジン、ミドリンなど)や交感神経刺激剤(アドレナリン、ネオシネジンなど)の点眼で散瞳がおこる。これら散瞳薬は眼底検査や子供の屈折矯正、虹彩(こうさい)毛様体炎の治療に使われる。
[小暮美津子]
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…明るいところでは,瞳孔を小さくし(これを縮瞳miosisという),眼球内に入ってくる光の量を少なくする。暗いところでは,逆に瞳孔を大きくし(これを散瞳mydriasisという),眼球内に入ってくる光の量を多くする。縮瞳は瞳孔括約筋(副交感神経支配)の収縮,または瞳孔散大筋(交感神経支配)の弛緩によって起こり,散瞳は瞳孔散大筋の収縮,または括約筋の弛緩によって起こる。…
※「散瞳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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