局方名を塩酸クロルプロマジンといい、強力精神安定剤(メジャートランキライザー、抗精神病薬)の代表的薬物である。1950年にフランスのローンプラン社でフェノチアジン系化合物の研究からみいだされた。精神神経科における薬物療法の進歩はクロルプロマジンの登場から始まるとも考えられる。中枢神経および自律神経の抑制作用により鎮静、制吐、麻酔および催眠強化の目的で使用される。適応は、統合失調症(精神分裂病)、人工冬眠、そう病、神経症における不安、緊張、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、吃逆(きつぎゃく)(しゃっくり)、破傷風に伴うけいれん、麻酔前投薬、鎮静・鎮痛剤の強化など。錠剤(12.5ミリグラム、50ミリグラム、100ミリグラム)、10倍散、顆粒(かりゅう)、シロップ、注射液(0.5%、1%、2.5%)の製品が市販されている。「ウインタミン」「コントミン」が有名である。
[幸保文治]
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2-chloro-10-[(3-dimethylamino)propyl]phenothiazine.C17H19ClN2S(318.87).2-クロロフェノチアジンにナトリウムアミドの存在下で3-(ジメチルアミノ)プロピルクロリドを作用させると得られる.アミン臭のある油状液体.沸点200~205 ℃(0.1 kPa).精神分裂症に用いられるトランキライザー.少量で鎮静作用を,大量で睡眠を起こさせる.塩酸塩は白色の結晶.融点194~196 ℃.LD50 405 mg/kg(マウス,経口)[CAS 50-53-3][CAS 14923-91-2:塩酸塩]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…49年にオーストラリアのケイドがリチウムの抗躁(そう)病作用をみつけた。52年には抗ヒスタミン薬と抗マラリア薬との交点にあったクロルプロマジンと,インドの民間療法から発見されたレセルピンとがつくられ,劇的な抗精神病作用をもつことがわかった。筋弛緩薬,メフェネシンの誘導体であるメプロバメートに抗不安作用が確かめられたのは55年であった。…
※「クロルプロマジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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