日本大百科全書(ニッポニカ) 「テトロドトキシン」の意味・わかりやすい解説
テトロドトキシン
てとろどときしん
tetrodotoxin
アルカロイド系の毒素。化学式C11H17N3O8で表される。フグ毒としてもっとも有名な毒素で、フグの卵巣および一部肝臓にも含まれる毒の主要成分。フグの種によっては皮に強い毒力をもつものもある。
フグの学名はテトロドンであり、その毒成分(トキシン)の意味から、日本の薬学者田原良純(たわらよしずみ)によって1912年(大正1)にテトロドトキシンと命名された。神経毒の一つで筋や神経に作用する。中毒症状は、食後20分から2~3時間ほどの潜伏期間を経て比較的短時間で現れ、口唇や舌および四肢末端のしびれという麻痺(まひ)症状に始まり、これが全身に広がる。重症になれば運動麻痺、さらには呼吸筋の麻痺を引き起こし、呼吸困難に陥って死に至る。
[編集部 2017年3月21日]