田上杣庄(読み)たなかみそまのしよう

日本歴史地名大系 「田上杣庄」の解説

田上杣庄
たなかみそまのしよう

田上の山間部に広がった庄園と推定されるが庄域は定かではない。「輿地志略」が田上中庄と田上杣庄を合せた「中杣庄」としてあげる村々の南に広がる八筈やはずヶ岳などを領域とする杣山から出発し、のち庄園として立券されたものであろう。田上杣は鎌倉時代には修理職領であったが(→田上山、南北朝期になると田上中たなかみなか庄の諸職などを永源寺開山の寂室元光に寄進した富塚曇瓊の応安二年(一三六九)八月一〇日の譲状案(近江南部文書)に「田上庄内田畠」一〇ヵ所の在所として「牧中庄杣、在所坪付別在之」とある。この頃でも単に杣とよばれていたことが知られるが、永徳三年(一三八三)五月の常在光寺目安案(壬生家文書)に「田上杣庄六ケ村」とあり、同所などの地頭職を得られるよう執奏を請い、同年と推定される六月二五日の後小松天皇宣旨(同文書)では田上六村が造伊勢大神宮役夫工米以下の諸役を免除されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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