田上牧庄(読み)たなかみまきのしよう

日本歴史地名大系 「田上牧庄」の解説

田上牧庄
たなかみまきのしよう

大戸だいど川流域に広がる上田上地域に比定される。遺称とみられる牧と、中世史料にみえる芝原しばはら中野なかのという三地名から確認でき、田上三庄のなかでは最も東に位置する。寛弘二年(一〇〇五)藤原道長が宿舎とした田上厩舎は当庄にあったと推定される(→田上山。文和四年(一三五五)四月一三日の青地氏重遵行状(近江南部文書)に「田上牧」とみえ、近江守護六角氏頼が田上の沢新蔵人に半済により田上牧のこの年の年貢半分を宛行っている。貞治五年(一三六六)六月五日には富塚曇瓊が、田上中庄の下司職・公文職などとともに「牧庄内在家拾所」を、また同年一一月一五日にも田上牧庄内の「中野」の在家屋敷四ヵ所をそれぞれ永源寺の寂室元光に寄進している(「富塚曇瓊寄進状」永源寺文書、以下断らない限り同文書)。応安二年(一三六九)八月一〇日富塚氏が太郎左衛門氏政に譲った「田上庄内田畠」に「牧中庄杣」という注記があるところから(「富塚曇瓊譲状案」近江南部文書)、牧庄は中庄・杣庄とともに田上庄(田上郷)の一部をなしていたらしい。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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