田原道(読み)たわらみち

日本歴史地名大系 「田原道」の解説

田原道
たわらみち

城陽市の木津きづ川東岸青谷あおだに付近より東北山中に入り、田原盆地のごうくち荒木あらきを経て、禅定寺ぜんじようじ川をさかのぼって峠を越し、大石おおいし川を下って瀬田せた川沿いに大津市の瀬田に出る古代の道。奈良と近江を結ぶ。

「続日本紀」天平宝字八年(七六四)九月一八日条によれば、恵美押勝謀反を起こした折、密告されて一族宇治川沿いの宇治道を通って近江に逃れたが、追討の「山背守日下部子麻呂・衛門少尉佐伯伊多智等、直取田原道、先至近江勢多」とあり、この道が宇治郡経由より早かったことが知られる。

承久の乱には鎌倉の幕府軍が都を攻めるのにこの道をも利用したらしく、「吾妻鏡」承久三年(一二二一)六月八日条に「忠信・定通・有雅・範茂以下公卿侍臣可宇治・勢多・田原等云々」とあり、朝廷側が幕府軍を防ぐために軍を田原にも派遣しているのをはじめ、「承久兵乱記」には「おなじき十四日、むさしのかみうじ(宇治)によせけるが、日くればたはらにぢん(陣)をとる」とあり、北条泰時の軍が勢多から田原道を通って、田原に入って宇治に出たことが知れる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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