田村用水(読み)たむらようすい

日本歴史地名大系 「田村用水」の解説

田村用水
たむらようすい

小鮎こあゆ川より堰入れて岡田おかた村・戸田とだ(現厚木市)水田に分水し、南流して大神おおかみ村および田村を灌漑する用水。「田村堀」「田村用水」とよばれ、四ヵ村にとって最も重要な用水であった。水路の長さは二里半(一〇キロ)、幅は四尺(一・二メートル)あったといわれる。天正一九年(一五九一)と推定される二月の、堤の土取場と堰の溝掘分の面積を指定する書上(平塚市史二)があるが、この内容が田村用水に関するものであるかは不明。

用水を利用する四ヵ村と近隣の村との間、あるいは四ヵ村内部で争いがしばしば起こっている。貞享三年(一六八六)閏三月の田村堀堤へ愛甲郡厚木村柳植立につき岡田村訴状(県史六)によれば、用水堀の東西へ厚木あつぎ恩名おんな温水ぬるみず(現厚木市)の三ヵ村が柳を植えたことからその刈取りをめぐり岡田村と争論となっている。同訴状で岡田村は恩名・温水の各村は岡田村の申入れに応じ植付けた柳の刈取りを実行したが、厚木村は刈取らないばかりか用水堀に杭を打ち堀を狭くする所業に及んだとして元どおりにするようにと願出ている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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