新撰 芸能人物事典 明治~平成 「田辺一鶴」の解説
田辺 一鶴
タナベ イッカク
- 職業
- 講談師
- 本名
- 佐久間 秀雄(サクマ ヒデオ)
- 生年月日
- 昭和4年 2月9日
- 出生地
- 東京市(東京都)
- 学歴
- 関東商卒
- 経歴
- 小学5年で母方の親類に預けられ、関東商を卒業。大学進学を反対されて家を飛び出し、ゴム靴、雑貨などの行商を経験した。新聞店に住み込みで働きながら、重度の吃音矯正を目的に12代目田辺南鶴の講談学校に通う。昭和29年講談界入りして田辺一鶴を名乗り、上野・本牧亭で初高座。48年真打ち。39年東京五輪の参加国をすべて読み上げる「東京オリンピック」が評判を呼んで以来、時事問題を題材に取った型破りな新作講談を開拓。「野茂英雄物語」「イチロー物語」「高橋尚子物語」といったスポーツ講談や、「田中角栄伝」「貴花田と宮沢りえ」「小柴博士とニュートリノ」「古賀政男物語」「ショパンと名曲の人生」「水木しげる物語」などを発表した。威勢良く扇を打ち鳴らし、高座で跳んだりはねたりという派手な芸風と、大きな口ひげがトレードマークで、“ヒゲの一鶴”として親しまれた。43年NHKの若者向け番組「ステージ101」にレギュラー出演した他、テレビや映画、舞台、CMなどにも登場。47年米国の歌手エルビス・プレスリーの楽曲「ポーク・サラダ・アニー」をカバーしたレコード「ポークサラダ兄ィ」をリリースした。63年講談、話術に関する蔵書を集めたミニ図書館を自宅で開き、平成10年日本の芸能に関する書物を中心に取扱う古本屋・イッカク書店を開店。後進の育成にも尽力し、5年講談復興のため“講談大学”と“講談通信大学”、8年“講談大学予備校”を開校し、12年には“講談総合大学”を設立。また、初めて女性を弟子に取り、多くの女性講談師を育てた。吃音に悩む人たち向けに創作講談を教える講談道場を始めるなど、社会貢献活動にも取り組んだ。
- 所属団体
- 講談協会
- 受賞
- 放送演芸選奨(第1回)〔昭和47年〕
- 没年月日
- 平成21年 12月22日 (2009年)
- 伝記
- 定本 寄席界隈艶噺 三遊亭 円右 著,林 秀年 編(発行元 三樹書房 ’10発行)
出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報